第1章 ストレスについて理解しましょう
ストレスと上手につきあおう!
(1)ストレスとは
「ストレス」はもともと物理学用語です。
ストレスは、外部から圧力を加えられた時に生じる物体の「歪み(ひずみ・ゆがみ)」を意味します。
たとえば、空気が入ったゴム風船があるとします。その風船を上から指でぐっと押します。すると風船はへこみますよね。
指の圧力によって風船がへこんだ状態のことを、物理学でストレスと言うのです。
このことを心理学的に置き換えて、心に何らかの圧力がかかっている状態をストレスと一般的に言っています。
「ストレス」という言葉を初めて医学分野で使用したのは、アメリカの生理学者ウォルター・キャノン博士(1871~1945)で、1920年代中頃のことでした。
またカナダの内分泌学者ハンス・セリエ博士(1907~1982)は、1936年に「ストレス学説」を発表しました。
セリエ博士は、心への何らかの圧力、つまりストレスの原因となるものをストレッサー(ストレス要因)と呼びました。
ストレッサーには、職場の人間関係、家庭内の悩み、過重労働などが挙げられます。
さらに、進学や就職、結婚、出産といった喜ばしい出来事も変化つまり刺激ですから、実はストレスの原因になりえます。
セリエ博士は、心に何らかの圧力がかかっている状態をストレス反応(ストレス状態)と呼びました。
ストレス反応は、心理面と身体面と行動面の3つの側面であらわれます。
ストレス反応(ストレス状態)の心理面では、活気の低下やイライラ、不安感などです。
身体面では、肩こり、頭痛、胃痛、食欲低下、動悸や不眠などがあります。
行動面では、飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故などがあげられます。

(2)2種類のストレス
ストレスには「善玉ストレス」と「悪玉ストレス」があります。
周りの人からの適度な応援や期待は「善玉ストレス」となります。
「高すぎず低すぎない適度な緊張状態(ストレス)の時、人は高い
パフォーマンスを発揮できる」という法則を、1908年にロバート・ヤーキンズ博士とジョン・ドットソン博士が心理学実験で発表しました。
この法則は「ヤーキンズ・ドットソンの法則」といいます。
この「ヤーキンズ・ドットソンの法則」は生理心理学の基本法則と言われています。
適度なストレスがパフォーマンス向上に効果があるのです。
一方「悪玉ストレス」は、私たちにとって思わしくない様々な悪影響をもたらします。
「悪玉ストレス」をそのままにしておくと、副腎からストレスホルモンが発生し、脳細胞が破壊されてセルフコントロールが上手くできなくなります。
「悪玉ストレス」による個々人の心の問題が、軽はずみな行動をひき起こしたり、集中力を欠落させて組織を危うくさせ、組織の存亡にかかわる事態を招いたりしている現状(企業や官公庁、病院、学校、福祉の現場での不祥事等)を、マスコミで目にする機会が増えています。

(3)身体にはストレスから心と体を守るしくみが備わっている
私たちには、ストレスから心と体を守り、一定の状態に保とうとする「ホメオスタシス」という仕組みが備わっています。
フランスの医師、生理学者クロード・ベルナール(1813~1878)は、外界の環境が激しく変化しても生物が生きていけるのは、体の細胞などの内部環境を一定に保つ能力があるためであるということを指摘し、「内部環境の固定性」と言う考え方を提唱しました。
この考え方は後に米国の生理学者キャノン博士によって「ホメオスタシス」という概念に発展させられました。
交換神経が優位になるように自律神経のスイッチを切り替えたり、ストレスと戦うホルモンを分泌したり、免疫を活性化させたりして、その時々の状況に応じて心身を適応させようとする仕組みです。
しかし強いストレスが長く続いてしまうと、ホメオスタシスでは限界で心身を守り切れなくなり、様々な病気を引き起こします。
(4)強いストレスが続くと心身の病気を引き起こす
・ストレス反応の3段階
セリエ博士は『ストレス学説』で、ストレス状態の経過には3つの段階があるとのべています。
1期(警告反応期)、2期(抵抗期)、3期(疲弊期)の3つの段階です。 ストレスを受けたときそのストレスに適応するための一連の反応です。これを全身適応症候群または汎適応症候群(GAS:General Adaptation Syndrome)と呼ぶことにしました。
全身適応症候群(汎適応症候群)には
1期:警告反応期: ストレスを受けると心身はいったんショックを受けます。警告反応期には、ショック相と抗ショック相という2つの時期に分類されます。 (1)ショック相: ストレスよるショックに身体が適応できていない状態 (2)抗ショック相: ショックに対する体の防衛反応(適応現象)の働き始まる段階 (この段階のみを警告反応期とし、ショック相と区別することもあります。)
2期:抵抗期; ストレスに抵抗している時期。副腎皮質ホルモンが分泌され、心身の活動が活発になる段階。
心身の不調を感じなくなります。抵抗力も回復して一見元気そうに見えます。
しかし、ストレスが継続すると、エネルギーを消耗して徐々に適応力が低下します。
この段階でストレス要因を調整したり休みをとったりする必要があります。
3期:疲憊(ひはい)期: ストレスへの抵抗力がなくなり、心身の不調が急激に悪化し病気になります。
過度のストレスは、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。 うつ病や不安障害・適応障害、依存症、睡眠障害のほか、ストレスの影響が頭痛、胃痛、下痢などの身体状態としてあらわれる心身症もあります。
糖尿病や高血圧症、動脈硬化や癌などの生活習慣病の発症にも、ストレスが関わっていることがわかっています。
ストレスが命をもおびやかすキラーストレスになることもあります。だから早い目のケアが大切なのです。
第2章 あなたの笑顔とプラス思考が元気の源
あなたはもっと伸びる!
大脳生理学と心理学大活用
知識だけを頭の中にいっぱい詰め込む時代から、心を磨き、心のエネルギーを開発して、これを大活用する人が伸びる時代になりました。
あなたの心には、大きなエネルギーが潜んでいます。
(1)人間には無限の力がある
『できる!やれる!なれる!』
私は北インドのガンジス河上流で「イメージトレーニング」の研修会を催したことがあります。
その時、巨象がホテルの玄関脇で細い杭にロープで繋がれているだけなのに、逃げようとしないことに驚きました。
おそらく、子象の時には逃げ出すために杭を抜こうと引っ張ったことでしょう。
しかし、その時は力が弱かったので抜けなかったのです。
そして大きく成長した今でも、杭を抜く力は十分あるのに抜けないものだと思い込んでいるため、抜こうとしないのではないでしょうか。
人間の能力の90%以上が眠っているとも言われています。
私たちも、この巨象のようにすばらしい力を生まれ持っていながら、「自分はダメだ」と思い込んでいることが多いように思います。
「人はみな無限の力を持っており、自分の願い通りになれる力が備わっている」のです。
これは、現代の心理学で認められている事実なのですが、ほとんどの人はそのことに気づいていないのです。
あなたの能力の90%以上が眠っているのです。
無限の力が自分の中にあると信じ、その力をうまく引き出すことがポイントです。
その第一歩は「なりたいと願う自分になれる!願うことは必ず実現できる!」と信じられる自分をつくることです。
心の底から「私はできる」と、いかに思い込めるかにかかっているのです。
人は困難な状況になると「やっぱりダメだ」と思ってしまって、諦めることがしばしばあります。
「やっぱりダメだ」から「できる!やれる!なれる!」へ意識転換するには、第3章で解説する潜在意識がカギとなります。
(2)心のトレーニングで能力アップ
身体で覚えていく科学的な「集中力強化法」や「願望・目標達成イメージトレーニング」などの心のトレーニングがあります。
心のトレーニングは、活躍している有名スポーツ選手たちが習得して、うまく活用していることは広く知られています。
オリンピック大会で、実力を発揮できず涙をのむ選手がいる一方、本番で実力以上の力を発揮し、驚異的な記録をあげる選手もいます。本番に強い選手は、あらゆるトレーニングを行い、勝てる肉体作りをした上に、心のトレーニングを実践しているのです。
本番に弱い選手には、弱気な気持ちやマイナスイメージを取り除き、潜在能力を開発する心のトレーニングが必要です。
現代社会が生み出すストレスは、「努力や根性」といった日本式の精神主義だけではかわしきれないほど過大なものになってきています。
難しい社会環境の中で、うまく自他を生かす心のトレーニング法を身につけると、毎日の生活や職場活動が活気にあふれ、生きていくうえで力強い味方となり、大きな財産になります。
(3)体をほぐしてリラックス
一度、あなたの両肩と首を回してみてください。ゴリゴリと凝っている人もおられると思います。
まず体をリラックスさせ、しなやかな体にすることから始めます。
私が提唱するメンタルフィットネスでは、始めに体をほぐすことが決めてです。
イスに深く腰を掛けて、正面を見ます。両手は下におろします。
首だけを左に回して、止まったところの位置を確認し、元へ戻します。
次に、両ひざをブラブラと振り、下半身をほぐします。
両腕を顔の前に上げて、両腕をブラブラと振り、上半身の力を抜きほぐします。
首だけを、もう一度左に回します。
体がほぐされたので、前回確認した位置よりも、もっと後ろまで見えましたね。これが体をほぐした効果です。
(4)笑顔たいそう
次は、あなたの顔の筋肉をほぐしていきます。
鏡をみてやるとより効果的です。
まず、目と口を思いっきり閉じます。
次に、目は閉じ、口を思いっきり開けます。
それぞれ二回繰り返します。
この顔のたいそうをすると、顔の筋肉がほぐれて口角が上がり、自然な笑顔になります。
1992年、日本心身医学会は、がん患者が大阪の吉本新喜劇を見て大笑いしたところ、免疫力が活性化したと発表しました。
それが新聞に掲載されたことにより、笑いの効果が日本で知られるようになりました。
笑いは体にとって良いことは誰でも知っていると思います。
昔から「笑う門には福来たる」といわれています。
いつも笑いのある人の家には、自然と幸せがやってくるという意味です。
では、笑顔たいそうのやり方を説明します。
笑顔の作り方
1 目と口を、きゅっと力いっぱい閉じます。
梅干を食べた時のすっぱーい顔。
元へ戻します。(3回くり返す)
2 目を閉じて口を大きく開けます。
強―い鬼がわらの顔。
元へ戻します。(3回くり返す)
3 ひょっとこの顔で、口をぐるぐる回します。
反対回しもします。
元へ戻します。(3回くり返す)
4 もう一度、目と口を、きゅっと力いっぱい閉じます。
元へ戻します。
5 口角が上がり素敵な笑顔がつくれます。
人とお会いになる前に、この笑顔たいそうをしてお会いになると効果大ですよ。
(5)笑いの医学的効果
笑いは、色々な病気治療に役立つことが科学的にも証明され、医療現場にも取り入れられています。
ストレス解消やがんの予防・治療に効果がある笑いを、医療や福祉の現場でいかそうと、大阪府も平成17年度から「笑いと健康推進事業」をすすめています。
作り笑いでも自然な笑いと同じ効果があります。
作り笑いをすると頬の筋肉が動き、口角が上がります。笑っているという状態が脳に伝わり、自然な笑いと同じ効果が得られます。
笑いの効果
・ナチュラルキラー(NK)細胞やボーン(B)細胞が活性化され、免疫力が上がる。
・腹式呼吸になり、より多くの酸素がとり入れられ、体内の血行が促進されて、新陳代謝も活発になる。
・怒りのホルモンであるノルアドレナリンの分泌を抑える。
・アレルギー症状を減少させる。
・大笑いすると、腹筋や横隔膜、肋間筋、顔の表情筋がよく動かされ、筋力アップ効果もある。
・自律神経のバランスが整えられる。
・脳の海馬が活性され、記憶力がアップする。
・脳波のなかでも特にアルファ波が増え、脳をリラックスさせながら脳機能を高める。
・幸福ホルモンであるエンドルフィンが分泌され、鎮静作用がある。
・セロトニンが分泌され、心が穏やかになる。
・やる気やプラス思考を高めるドーパミンが分泌され、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑える。
(6)人間の脳波は周波数によって五種類に区別
日常普通に活動しているときの脳波をベータ波(14~30Hz)といい、興奮状態の時の脳波をガンマ波(30Hz~)といいます。
目を閉じてゆったりと安静にしている時の脳波がアルファ波(8~13Hz)です。浅い睡眠時の脳波をシータ波(4~7Hz)、深い睡眠時の脳波をデルタ波(1~3Hz)といいます。
第4章で説明します自律訓練法を実施すると脳波はアルファ波の状態となり、この状態になると心の中のイライラやモヤモヤ、不安、ストレスが除去されるのです。
そしてやる気がでてきて、集中力、直感力、判断力、創造力、自然治癒力等が高められることが、現在の科学で実証されています。
また、普段、閉ざされている潜在意識の扉を開くことができるのです。
第3章 潜在意識を大活用して大成功
無意識があなたを動かしている
(1)自己イメージを変えると
あなたはぐんぐん伸びる
現代のストレス社会では、童話「みにくいあひるの子」と同じように、劣等感いっぱいで自分の本来持っている力を出し切れていない人が多いようです。
みにくいあひるの子は、親兄弟と姿形が違うため、「みにくい、ぐず、のろま」といじめられ続け、水に映った真黒な自分の姿を見て、大変悩み、劣等感を強くもっていました。
しかし、成長して、自分はあひるの子ではなく美しい白鳥であることに気づきます。
その時、心の中にあった悩みや劣等感はたちどころになくなり、それからは活き活きとして、楽しく充実した毎日を送ったのです。
昔から「自己像(イメージ)を変えると人はぐんと伸びる」と言われています。
(2)不思議な人の心
人には二つの心がある
人の心は不思議です。
会社員のAさんは、友達どうしで話している時はなんともないのに、上司の前に行くと急に口がこわばり、顔もひきつって話せなくなり、あせればあせるほど声にならなくなります。
B社長は、普段クールな紳士で仕事もバリバリこなしているのですが、会議の前日や、ゴルフコンペの前日になると眠れなくなり、眠ろうとすればするほど目がさえてくるのです。
心理学では、心の構造を大海に浮かぶ氷山に例えて説明しています。
水面から上に出ている氷山の一角が意識している心「顕在意識」で、水面下に沈んでいる巨大な部分が無意識の心「潜在意識」です。
人には、顕在意識と潜在意識の二つの心があるのです。
顕在意識
潜在意識
(3)潜在意識があなたの行動を決定
B社長のように、眠ろうとすればするほど目がさえて眠れないことはよくあります。意識する心で努力しても、逆の行動や状態があらわれたりします。
このことからもわかるように、私たちの行動を決定するのは、意識だけではなく、それ以外のものも存在するということです。
私たちの心には自分で意識できる心以外に、意識できない隠れている心があるのです。
実はこの隠れている心が、私たちの日々の生活に大きく影響しているのです。この隠れている心が、潜在意識です。
顕在意識を馬の乗り手、潜在意識を馬に例えると、さらにもっと両者の働きがよくわかります。
馬の乗り手が前方に走ろうとしても、馬がその方向に動かなかったら前方に進むことができません。馬が行動を決定するのです。
馬、つまり潜在意識が人間の行動を決定するのです。
(4)エミール・クーエの四大原則
意志(顕在意識)は想像力(潜在意識)に絶対勝てない
フランスの薬剤師で、暗示法の創始者であるエミール・クーエ(1857~1926)は、「意志」と「想像力」について20年にわたり研究しました。
エミール・クーエは「顕在意識」を「意志」と表し、「潜在意識」を「想像力」と表現しています。
エミール・クーエは、次のような四大原則をまとめています。
「意志」を「顕在意識」に、「想像力」を「潜在意識」にあてはめて読んでください。
エミール・クーエの四大原則
1 意志(顕在意識)と想像力(潜在意識)が反目する場合、勝つのは常に想像力(潜在意識)のほうで、例外はありえない。
2 意志(顕在意識)と想像力(潜在意識)が相争う場合、想像力(潜在意識)の力は、意志(顕在意識)の力の2乗に正比例する。
3 意志(顕在意識)と想像力(潜在意識)が同調している場合、そこから生ずる力量は、両者の和によってではなく、積によってはかられる。
4 想像力(潜在意識)は、誘導可能である。
エミール・クーエの四大原則の1と2からは、意志(顕在意識)と想像力(潜在意識)では必ず想像力(潜在意識)が勝ち、想像力(潜在意識)は意志(顕在意識)よりも大きな力があるということがわかります。
3と4では、必要なのは意志(顕在意識)の努力よりも、悪い方に傾いてしまう想像力(潜在意識)を自分の思うように誘導すれば良いということがわかります。
想像力(潜在意識)を誘導して思いのままに扱えるようになるということがカギになります。
(5)潜在意識は知識の宝庫である
潜在意識は過去の体験や知識の宝庫であると言われています。潜在意識には、人間の行動をひきおこすエネルギーや様々な情報がぎっしり詰まっています。
あなたの行動を決定している潜在意識に、「願望・目標達成イメージ」や「ゆったりしている。集中できる。」などのプラスの暗示を送り込みましょう。
すると潜在意識は、そのことを実現するためにいろいろな知恵を出してくれます。
知恵の出てきかたは、人によって様々です。
ある人には目標実現への具体的方策が浮かんだり、新たな方向性やアイディアが思いついたりするかもしれません。
またある人には、イライラ・モヤモヤが消えて、「よーし、やるぞ!」といったヤル気となって出てくるかもしれません。
ときには夢の中でヒントが浮かんだりすることもあります。
とにかく願望を実現するために、その人にもっともふさわしい提案をしてくれるのが潜在意識です。
(6)潜在意識は夢実現の工場
潜在意識は大きな工場のようなものです。その中には優れた機械や設備が整っていて、優秀な技術者がたくさん働いています。
あなたから「願望・目標達成」という指令がくると、それを達成するために潜在意識は全力をあげて働きます。
ここで重要なのが、プラスのイメージを潜在意識に送り込むということです。
「眠れなくなるかもしれない。」とか「失敗するかもしれない。」というマイナスのイメージは送らないということです。
マイナスのイメージを送り込んでしまうと、「眠れない。」や「失敗する。」等の自分の意図とは逆の状態を導くように潜在意識が働いてしまいます。
マイナスイメージが出てきたときはすかさずに「キャンセル!キャンセル!」でOK!です。
だから、「ぐっすり眠れる。」や「成功できる。」というプラスのイメージを送り込み、自分の願望や目標を実現するように潜在意識に働いてもらうと良いのです。
このプラスのイメージは具体的であればあるほど効果的です。
第4章 ストレス解消法のお勧め下口式自律訓練法
1 自律訓練法とは
『自律訓練法』はドイツのベルリン大学教授ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツ博士(1884~1970)が考案したセルフコントロール法です。
人間の心は不思議です。
Aさんは、普段寝つきが良いのに、会社の会議の前日になると、なぜか眠ろうとすればするほど目がさえてきます。
学生のB君は、どこも悪くはないけれど、テストの前になると急にお腹が痛くなり、テストが終わってしばらくするとウソのように痛みがなくなってしまいます。
また、Cさんは友達同士で話しているときは何ともないけれど、上司の前にいくと顔もこわばり上手く話せなくなります。
D子さんは人前でふだんは楽に話せるのに、大事な会議の時に限って顔が赤くなり、赤くならないでおこうと思えば思うほど赤くなるのです。
心が緊張すると肝心なときに限って、期待することとは逆の現象が起きることがあります。
シュルツ博士はこのような“努力逆転現象”の起こらない方法はないものかと1905年より研究に取り掛かりました。
まず博士は心が統一されている人間の身体の状態を調べたのですが、その結果両手、両足の力が抜けている、両手両足が温かくなっている。額が涼しいなど、共通している身体の状態であることを発見しました。日本では古くから言われている理想的な心身の状態である「頭寒足熱」の状態です。
このことから、精神が統一されている人の身体と同じ状態に、自己暗示で自分の身体をくつろがせていくことで、仕事や学習に、またスポーツに集中できる状態になれるのではないかと、シュルツ博士は考えたのです。
その結果、ついに1932年にこれを「オートゲネー・トレーニング法」(AT法)として発表したのです。
企業での社員研修、病院での患者さんの治療、教育界で学習指導に活用したところ大きな効果がありました。
その後、AT法を実施すると「心がゆったりと落ち着いてくる。気分が爽快になる。エネルギーが出てきてやる気が湧き出てくる」などさまざまな心理効果があらわれてくることがわかってきました。
日本には、1951年に京都大学の佐藤幸治教授が初めて紹介しました。
そして、1959年に当時九州大学の成瀬悟策博士(1924~2019)によって『自律訓練法』という名称で学会発表されました。
医学的には九州大学の池見酉次郎博士(1915~1999)が1961年に日本で始めて心療内科を創設し、内科疾患を中心に、心と体の相関関係に注目した診療方法を体系化、実用化に尽力されました。自律訓練法の基礎的・臨床的特長や効果が確認されました。
日本自律訓練学会は,1978年設立され,初代理事長は池見酉次郎先生です。1991年に2代目理事長は筑波大学教授佐々木雄二先生、2009年に3代目理事長は久保千春九州大学総長です。
自律訓練法は、本来はコントロールできない自律神経系を言葉(言語公式)とイメージ(自己暗示)によって自己コントロールし、自律神経系のバランスを回復させるリラクゼーション法です。
第六段階までありますが、この本で紹介する第二段階まででも十分効果があります。「言語公式」とイメージがポイントになります。
第0段階(背景公式)「気持ちが落ち着いている」 安静感
第一段階 「両手両足が重たい、ゆったりしている」 重量感
第二段階 「両手両足が温かい」 温感
自律訓練法は、まるで禅の境地のような状態に比較的簡単になれる方法なので、インスタント禅とも言われています。実際、心療内科、精神科などで用いられ、大変効果があります。
自律訓練法の実践例
●スポーツ界 イチロー選手はじめ多くのスポーツ選手が「あがり」を防止し、持てる能力を最大限に発揮するために、よく用いられています。
1964年に開かれた東京オリンピックの時にも、選手の「メンタルトレーニング」として取り入れられ効果が確認されています。
●NASA アメリカのNASAでも宇宙飛行士のメンタルトレーニングとして取り入れられています。宇宙空間で1秒1刻を争う的確な判断を下さなければならない過酷な状況におかれても、心身のコントロールができる必要があるからです。
昼夜の区別がない宇宙で、宇宙飛行士が眠ることができます。
自律訓練法は信頼性が高く、また、長い歴史と高い実績があるしっかりと確立された技法です。
2 勤務中学校で自律訓練法を導入
私は1962年に大阪市立中学校教員になり、生徒指導に役立てばと「カウンセリングと教育催眠法」に1973年頃から取り組みだしました。
大阪では守部昭夫先生に師事し、土・日曜日にはインストラクターとして修業させていただきました。
その後、東京で深層心理研究会(会長山口彰先生)主催の全国の教員対象の夏休み合宿研修会で、森定一医学博士より「医療催眠法」を数年にわたって詳しく伝授していただきました。
その中で、「自己催眠・自律訓練法」に深く感動しひかれました。
自律訓練法は、本来はコントロールできない自律神経系を言葉(言語公式)とイメージ(自己暗示)によって自己コントロールし、自律神経系のバランスを回復させるリラクゼーション法です。
勤務中学校で「自己啓発部」を作り、「自律訓練法による意欲開発・集中力開発メンタルトレーニングの理論と実際」に取り組みました。 成果も徐々にあがり生徒も保護者にも喜んでいただけました。
3 池見酉次郎博士との出会い
1983年4月に奈良市に自己啓発学院、続いて大阪市に「シモグチメンタルマネジメント研究所」を設立しました。
当時、生徒たちの中にもストレスによる情緒不安定な傾向が目立ち、登校拒否、いじめ、家庭内暴力、校内暴力、神経症、心身症などで、青少年を取り巻く世界が大きく揺れ動いていました。特に登校拒否の子どもが急増し、小中学生の授業中の態度も悪くなってきました。
私が研究所設立直後に、池見酉次郎先生の京都大学でのフリスクールでの「自律訓練法の理論と実際」を数日間にわたって受講できました。感激と感動の連続でした!
早速、先生からいただいいた資料と「自律訓練法テープ」を参考に、私の自律訓練法学習テキストと自律訓練法学習のテープを作り、わたしの講習会で活用したところ好評をいただきました。
暫くして大阪市民大学センター様より、2度の池見酉次郎先生の自律訓練法講座の後、自律訓練法の実技担当のご依頼をいただきました。
続いて、池見酉次郎先生が院長の九州小倉病院の看護部長様より看護師研修のご依頼をいただきました。
この研修会で、看護師のセルフケアプログラムが確立できました。以後、長年の各地での看護協会様、医療機関様での看護師のセルフケア研修に貢献させていただいています。
数年後、私が自律訓練法講座を担当させていただいている㈶関西カウンセリングセンター(古今堂宏理事長)に2度にわたり、池見酉次郎先生がご講演にお越しいただき、激励していただけました。
2008年に日本自律訓練学会第31回大会(大会会長池見陽関西大学心理学研究科教授、事務局長下口雄山)が、関西大学で開催されました。
わが日本メンタルフィットネス協会が大会事務局を担当しました。
大会企画で、下口雄山が「自律訓練法背景公式の導入法の工夫とその効果」(座長 佐々木雄二教授)について、研究発表いたしました。
座長してただいた自律訓練学会理事長の佐々木雄二教授から大きなエールを頂戴しました。
2010年には、「日本産業カウンセリング学会15回大会研修会」(大会委員長 三川俊樹追手門学院大人間学部教授)で、「自律訓練法によるメンタルフィットネス」を担当いたしました。
「こんな簡単な方法でストレスがとれ、モチベーションアップできるとは!」と感動していただいたのがきっかけで、企業や病院、教育機関はもちろん、老人福祉事業協会や福祉施設、子育て支援機関でも「メンタルヘルス、セルフケア講演・研修」の依頼が増え、担当させていただきました。
4 漸進的筋弛緩法
漸進的筋弛緩法は、アメリカのエドモンド・ジェイコブソンという生理心理学者によって考えられたリラクゼーション法です。意図的に任意の筋肉を緊張させた後、その筋肉を弛緩させてリラックス状態にする方法です。
5 下口式自律訓練法とは
下口式自律訓練法は、シュルツ博士の自律訓練法、ジェイコブソンの漸進的筋弛緩法、呼吸法などのリラクゼーション法を組み合わせ、研究・開発した下口雄山オリジナルのセルフケア法(ストレス解消法)です。
所要時間は約5分で、どこでもできる「心のラジオ体操」ともいえます。
自律訓練法の背景公式に重点を置き、「いつでも、どこでも、だれでも」簡単に、身体と心をリラックスさせることができます。
この時、脳波はアルファ波で、心の扉は開いています。いらいら、モヤモヤ、ストレスがたちまち消え、心にプラスメッセージを自己暗示すると、心の底からヤル気と勇気とエネルギーが湧出してきます。ここで、イメージトレーニングをするのです。
自律訓練法は世界的に下記の効果が認められています。
<自律訓練法の効果>
① 蓄積された疲労を回復することができる。
②イライラが消え、穏やかな気持ちになり、心理美容効果も大きく、人 間関係もスムーズになる。
③自己統制法が身につき、衝動的な行動が少なくなる。
④仕事や学習に対する集中力がつき、能率が上がる。
⑤精神的な苦痛が緩和される。
⑥内省力が形成され、自己向上性が増す。
⑦目標達成、問題解決のアイディアが出やすくなる。
6 職場における下口式自律訓練法の活用
下口式自律訓練法の活用は、ストレスへの対処法としてのセルフケアだけではありません。
21世紀は、知識だけを頭の中に詰め込む時代から、心を磨き、心のエネルギーを開発して成果を出す時代です。
下口式自律訓練法は、大脳生理学と心理学を応用した潜在能力開発のトレーニングです。
下口式自律訓練法は
◆冷静な判断力 ◆正確な集中力 ◆ひらめく発想力
◆職場や家庭生活に欠かせない柔軟で強靭な人間力
◆コミュニケーション力 等を養い、自己形成に役立ち、職場の意識改革に最適です。
第5章 メンタルフィットネスの実践
昔から日本ではヤル気の強化法として「根性論」や「精神主義」が幅をきかせていました。一時的に活性剤になり、緊張して感情も高まり、やらねばという気持ちになりますが、長い目でみるとマイナスの面が多いのです。
それに対して、心身をリラックスさせていくリラクゼーション法を用いると、私たちの行動を決定している潜在意識をうまく活用でき、良い結果が得られます。
最近の企業、学校、病院では、この方法によってうまく潜在意識に働きかける教育法が効果的であり、これからの能力開発に必要であると認識されつつあります。
人間の行動を決定している潜在意識に「プラスの暗示」を注入するためには、まず身体をリラックスさせることが必要です。
身体をリラックスさせていくと、あなたの脳波はベータ波からアルファ波という状態になります。
このアルファ波の状態になると、あなたの心や身体の中にあるイライラやモヤモヤ、ストレスが生理学的に解消していくということが実証されています。また、脳波がアルファ波の状態では、潜在意識の扉が開いた状態になり、プラスの暗示が入りやすくなります。
下口雄山の「メンタルフィットネス」では、次の4ステップで習得します。
【ステップ1】一点に集中するトレーニング
【ステップ2】腹式呼吸法
【ステップ3】下口式自律訓練法
【ステップ4】願望実現イメージトレーニング法 順に解説していきましょう。
【ステップ1】一点に集中するトレーニング
『集中力の振り子』
不思議なくらい落ち着く!心が集中できる!
集中力を高めると同時に、自然に無理なく仕事や学習に身が入るようになれる効果的な心のトレーニング法として、「シュヴリエルの振り子法」があります。
人はみな無限の力を持っています。その力を活用して、人は誰でも「なりたいと願う自分」になることができるのです。
誰でもやればできるのです。「自分には無理だ」とマイナスに考えないで、「私はできる!やれる!なれる!」と常にプラスに考えることが、願望・目標達成の秘訣なのです。
まず、直径15cmぐらいの円を紙に描き、暗示板を作ります。そして、20cmぐらいのタコ糸一本と5円玉を用意します。タコ糸の先に5円玉を結びつけて、振り子を作ります。
この振り子と暗示板を使って集中力を開発し、潜在意識にプラスの自己暗示をするのです。
集中力の振り子トレーニング方法の解説の後に、シュヴリエルの振り子の暗示板を掲載していますので、ご活用ください。
また、下記の解説をご自身で録音してそれを聞いて練習されるのもよいと思います。
実習『集中力の振り子トレーニング』
① イスにゆったりと座り、机上に暗示板をおきます。きき手の親指と人差指で糸の先をかるく持ち、5円玉を円の真上10cmぐらいにもっていき、静止させます。
② その5円玉をジィーッと見つめて、手は動かさずに「前後に動く、動く」と強く想い続けます。動いてきたら「もっと大きく動く」と想います。大きく動いてきます。
この時、あなたの行動を決定し、すごいパワーをもっている潜在意識の扉が開いています。暗示語「気持ちがゆったりしている」を心の中で何回も繰り返し、潜在意識にすりこみます。
③ 次に動きがだんだん小さくなってきて、「左右に動く」と想います。左右に大きく動いてきたら、暗示語「心が集中できる」を心の中で繰り返します。
④ 今度はこの振り子が「円を描いてクルクル回る」と想い続けます。回りだしたら、暗示語「気持ちがゆったりしている。心が集中できる」と心の中で繰り返します。
⑤ 最後にその振り子をジィーッと見つめてピタッと止まると思い続け、「ピタッと止まると集中できる」と自己暗示します。
止まったら、その気持ちの良さを味わいながら、気持ちいいなと想い、大きく伸びを二回します。
このトレーニングを、仕事や学習、またスポーツの前に、一日に少なくとも三回は行うと、個人差はありますが、三か月後ぐらいには自信と集中力がつき、やる気いっぱいの自分になっています。
この振り子トレーニングから、「心の中でひとつのことを強く想い続けていると、身体がひとりでにその想っている方向に動いていく。」ということがわかります。
つまり、意識の持ち方ひとつで行動や物事の成果が左右されるということなのです。
営業の苦手な人が「私は営業が苦手だ」と自分で想い込み、また人にも常にそう話していると、仕事に対する意欲も益々なくなり、営業成績も上がらず、決してよい結果は得られません。
K部長は振り子でこのことに気づき、振り子を使って自分の行動を決定している潜在意識に「売り上げ目標達成!マイペースで何事も楽にできる。日に日にすべてのことがよくなる。」と語りかけました。
それからのK部長は失敗や落ち込むときがあっても、それは目標達成に欠くことのできないことで、成功のためのエネルギー源であり、今はそのプロセスなのだと考えるように努めました。
常に自分は「成功者」であると考えるようにしたのです。
その結果、自分の道を、自信を持って切り開くことができ、社会人として充実した日々を送っています。
あなたも、この「集中力の振り子トレーンング」で、仕事や学習、スポーツの成果をぐんとあげてください。
集中力が強化できる!
「シュヴリエルの振り子暗示版.」
【ステップ2】腹式呼吸法で実力発揮
呼吸は心を支配 心が統一される
最近、腹式呼吸法を始業前に実施して、効果をあげている企業や学校、スポーツ選手が増えています。
イメージトレーニングの指導者である57歳の女性、Hさんが剣道五段になられ、「腹式呼吸法が私を五段までとらせてくれた」と言っておられるのが印象に残っています。
各国で開発されている精神統一法は、ほとんど「腹式呼吸」によって心身をリラックスさせることから始まっています。
体内に十分な酸素を送り込むと、体も心も活性化し、頭もスッキリ、やる気と集中力がぐんとアップするのです。ケアレスミスがなくなり、仕事の成果もアップします。
集中力をつけ業績をのばすためには、それらを阻害する心理的要素をいかに取り除くかがポイントです。
緊張しすぎる、イライラする、あがるなどの心理的トラブルは腹式呼吸で取り除くことができるのです。
心が混乱して、興奮しているときは呼吸が浅く、「ハア、ハア」といっており、吐く息も弱く、脈も速くなっています。
心が落ち着いているときは呼吸が深く、吐く息にも力がこもっていて、脈も静まっています。
つまり、呼吸が心を支配しているといっても過言ではありません。
意識的に呼吸を変えることによって、心の状態を良くすることができるのです。
心臓や胃などの内臓は自律神経によって支配されていて、自分の意志の力でコントロールできませんが、呼吸は自分で自由にコントロールできます。
腹式呼吸で体内により多くの酸素がとりこまれると、血行が良くなり、頭の回転が速くなって記憶力も伸びます。
腹式呼吸では、息を吸う時に筋肉が収縮し、吐く時に筋肉がやわらぎます。息を吸う吐くで、筋肉の収縮と弛緩が繰り返され、全身がリラックス状態になります。
内臓諸器官も正常に働くようになり、心を統一させることができるのです。
下記の解説をご自身で録音してそれを聞いて練習されるのもよいと思います。
実習『腹式呼吸法』
腹式呼吸のやり方は簡単でどこでもできます。次の要領で練習しましょう。
① 背筋を伸ばしてイスに深く座り、手は膝の上にのせ、目を閉じます。気持ちが落ち着いてきます。
② 両手を下腹におき、口を少し開けて糸のように細く長く、肺にある息をすべてゆっくり、ゆっくりと吐き出します。吐き出しながら、両手両足の力を抜いていきます。お腹がぺっしゃんこになるまで、吐き出します。
③ 口を閉じて、鼻から息をお腹いっぱい吸い込みます。お腹をうんとふくらませます。
④ 息をいったん止めます。酸素が全身に行き渡っていくと思います。(②③④をもう二度繰り返します。息を吸ったときに両手が上がり、吐いたときに下がっていれば腹式呼吸はできています。)
⑤ ゆっくり息を吐きながら、元の呼吸に戻します。
⑥ 今度は両手を膝の上において、吐く息を長くして腹式呼吸を3分間ほどします。
(このとき、あなたの脳波はアルファ波のレベルです。イライラ、モヤモヤ、ストレスが解消されます。そして、あなたの潜在意識の扉が開いた状態になります)
⑦ 「気持ちがゆったりしている。集中できる。マイペースで楽にできる。日に日にすべてのことが良くなる。」と、あなたの行動を決定している潜在意識に自己暗示します。
⑧ 目を開けてぐんと伸びを二回します。
この腹式呼吸を起床時に数分間、さらに仕事や学習、スポーツ開始前に実施すれば、気持ちが落ち着き、気分がスッキリして、あなたの実力が十二分に発揮できます。業績もぐんとアップします。継続は力なりです。
【ステップ3】自律訓練法
心のコリをとる!『脳を癒し、脳を鍛える』
潜在意識を大活用!無限の可能性が開発できる!
55歳の経営者A氏は事業がうまく展開できず、今ひとつ業績もふるいません。知らず知らずのうちにストレスが蓄積し、イライラや不安がつのり、首や肩がガチガチに凝っています。
急にタバコの本数とコーヒーを飲む回数も増え、お酒の量も増えたと嘆いています。
そして、ストレス解消のためにゴルフや麻雀にと出かけるのですが、ふだんの実力が出ず、余計にストレスをためて帰ってくる状態です。
また、字を書こうとするとなぜか手が小刻みに震えてうまく書けないと困っています。
45歳のB総務部長は最近食欲がなくなり、時々胃痛と頭痛に悩まされ、その上寝つきも悪く熟睡ができず、身体が気だるい毎日です。
さらに通勤時、快速急行列車に乗ると、急にトイレに行きたくなるのです。しかし、各駅停車の普通列車に乗るとなんともないのです。
自分に自信が持てなくなり、日常の仕事に集中できない状態が続き、人間関係もうまくいかず、会社や家庭で皆に嫌な感じを与えてしまっています。
このような状態に陥っている人に「自律訓練法」が役立ちます。
「自律訓練法」を実施すると、脳波がアルファ波という状態になり、イライラやモヤモヤなどの不安、心身の疲れがとれるのです。
そして、あなたを動かしている潜在意識に暗示を入れやすい状態になります。潜在意識にプラスの暗示をすることで、何事にも集中して取り組め、成果をぐんと上げこることができるのです。
自律訓練法は0~6段階で構成されています。
公式は7つですが、一般的に行われているのは、第二段階までです。大部分の人が第二段階まで習得した自律訓練法を行って、良い効果をあげています。(本書でも第2段階まででプログラムしています。)
第0段階(背景公式)「気持が落ち着いている」 安静感
第一段階 「両手両足が重たい、ゆったりしている」 重量感
第二段階 「両手両足が温かい」 温感
第三段階 「心臓が静かに打っている」
第四段階 「呼吸が楽だ」
第五段階 「胃のあたりが温かい」
第六段階 「額が涼しい」
禁忌
自律訓練法によって練習者の健康に有害な反応や機能的変化などを起こす恐れのある場合
1 第三段階:初発間もない心筋梗塞などの虚血性疾患
2 第四段階:気管支喘息などの呼吸器疾患
3 第五段階:消化器疾患のうち出血の恐れのある場合
4 第六段階:脳出血後遺症、テンカンなどは一部を省略
自律訓練法の心得.
自律訓練法の練習をするにあたって
《場 所》はじめは、静かで落ちつける場所で練習し、慣れてきたら会社や電車の中でも簡単にできるようになります。
《姿 勢》イスに深く腰をかけて座り、両足はひざより前に出し、ひざとひざ間にはにぎりこぶし一つか二つ分ぐらいにあけます。両手はひざの上にのせます。または、ふとんの上にあお向けに寝て、手は両わきに伸ばします。
《練習回数と時間》一日に三回くらいの練習が適当です。
起床時や就寝時の練習はたいへん効果があります。
忙しい人は就寝時だけでもやるといいと思います。また仕事や学習を始める前に行うと、集中力が倍増されます。
毎日一回だけでもいいですから、続けることが大切であり、続けていると、十日間位で一つの段階がマスターできます。
《終了覚醒》「三つ数えて醒めたと思うと、気持ちよく、くつろぎか ら醒める」と自己暗示し、「一つ、二つ、三つ、醒め た!」と言い聞かせて、目を開け、ぐんと伸びを二回します。これを省略するとめまいなどしてフラフラすることがあるかもしれませんので、必ず行いましょう。練習の途中で電話や来客のために中断する時には「醒めた!」と自己暗示をして伸びを二回すればいいのです。ただし、寝る時はそのまま眠ってしまってよいのです。この練習を繰り返しているうちに、きっと熟睡が得られるようになります。
実習『自律訓練法第0段階』
背景公式「気持が落ち着いている」
① 脚の筋肉をほぐす
② 両肩をほぐす
③ 両手、両腕をほぐす
④ 首を回してほぐす
⑤ 顔面をほぐす
⑥ 腹式呼吸で体内をほぐす
自律訓練法第一段階・二段階
第一段階「両手、両足の力が抜け、ゆったりしている」
第二段階「両手、両足が温かい」
21世紀は心の時代と呼ばれていますが、日本ではまだやっとホームドクターの時代です。
欧米ではすでに各家庭にホームカウンセラーを持ち、心理トラブルの解決と自己調整をし、仕事と生活の安定と促進をはかっています。
昨今、コロナストレスやテクノストレスをはじめ様々なストレスが我々を脅かしています。この時代を生き抜いていくには、「メンタルフィットネスで笑顔~セルフケア法」をマスターすることが必要不可欠です。
自己コントロール・セルフケアできる人が、これからの時代を積極的に生き抜き、成果をあげていけるのです。
自律訓練法は決してむずかしいものではありません。
あなた自身が自分の力によって、自分の心の流れをプラスの方向に変え、集中力を高め、潜在能力を開発できる心のトレーニング法です。また、職場全員や家族のセルフケア(心の安定)にも役立ちます。
第一段階「両手、両足の力が抜け、ゆったりしている」
第二段階「両手、両足が温かい」
・
【ステップ4】願望実現イメージトレーニング
願望が実現した姿を思い描く
やる気が増幅され全力で目標達成
M食品会社の代理店K商事株式会社のK社長は「やすらぎのシャワー、下口雄山イメージワークをうまく活用することで、会社の売り上げがぐんぐんと伸びています。今期の業績は更にアップするだろう。」とニコニコ顔で話しています。K社長は毎朝、社員全員と自律訓練法を実施し、脳波をα波の状態にして、身体の硬さをとり、体と心を癒しています。
そして、潜在意識の扉を開いて、「願望目標を実現させるイメージトレーニング法」を実施しているのです。
また、K社長は自分の笑顔の写真と、社長が尊敬する政治家のA氏の笑顔の写真をパネルにして、社長室に揚げ、その横に7パターンの笑顔たいそう「スマイル・センスアップトレーニング」のプログラムを掲示して、毎日時間があるごとに、笑顔たいそうを実施しています。
人間の第一印象は6秒から7秒で決まるといわれています。そして、その第一印象は変えるのが難しい。いつまでも影響を及ぼしますので、できれば第一印象はその人らしい笑顔が望ましいです。
一方、K社長は、社員一人一人の「長所発見ノート」を作って、社員の長所に気づくごとに記録しています。朝、出社してきた社員に一人ずつ笑顔で、明るく大きい声で「お早よう」と声をかけ、すかさずその社員の良い点をみつけて、「今日もええ顔してるね! いい顔やね! そのネクタイすてきやね!」等とプラスメッセージをふりまき、「今日もがんばろうぜ!」と話しかけています。
我々大人でも、プラスメッセージをもらうとうれしいものです。
エネルギーが湧きでてきます。私も官公庁や企業で管理職の方々の研修を担当していますが、部下の方々が生き生きと働いている会社の上司の方々は、ほめ言葉をたくさん持っておられます。
そして、それを適確に部下の方々に「あなたは企画力バツグン!」「集中力があるね!」と間髪入れずに賞賛しておられます。
笑顔とプラスメッセージ、ほめ言葉が人間の行動を決定している潜在意識の扉を大きく開けるのです。
潜在意識はなんでもつくれる工場なのです。
工場には、すぐれた機械や設備が整っていて、優秀な技術者がたくさん、年中無休で働いているのです。
「こんなものを作ってほしい」という命令がくると、全力をあげてそれを作りあげてくれるのです。
この工場に命令する方法が「イメージトレーニング法」なのです。
アメリカのマーフィー博士の成功法則に、体をリラックスさせて自分の目標が達成できて喜んでいる姿を強くイメージしていると、必ず実現するとあります。
また、ヨガの四つの有名な言葉――
I imagine it. ②I think it. ③I belive it. ④I live it.
もあります
これは、「こうなったらいいなあ」と、あることがらを想像し続けていると、そうなると考えるようになり、しばらくすると必ず実現すると信じるようになり、強く信じているといつのまにかそのようになるということです。
このように東西を問わず昔から、強く信じるものは必ず実現すると言われており、イメージの力は大きいものがあるのです。
K社長はこのイメージの大切さを知っており、常にプラスイメージを描いて、大きい力を持っている自他の潜在意識をうまく活用して好成績をあげているのです。
スポーツ界のトッププレーヤーもイメージの力を上手に活用しています。あるプロ野球の監督は試合の前夜、ベッドの中で体を伸ばし、リラックスします。
目を閉じ、心のスクリーンに1回から9回まで、全選手が大活躍して最高の勝ちゲームを展開している姿を思い描きます。
そして、試合後勝利の祝杯をあげている姿をイメージして眠りにつくそうです。また、Sチームの主砲K選手はベンチで目を閉じ、大ホームランをかっとばして、大観衆から拍手をあびながらベースを一周している自分をイメージしてバッターボックスに向かうと言います。
受験生もうまく活用しています。
今年、念願の大学に入学できたB君は、大学のパンフレットの中にキャンパスライフの紹介があったので、そこに登場する学生たちの中に自分の全身の写真をはりつけ、それをベッドの横にピンでとめました。そして、元気にその大学に通学している自分をイメージしながら、眠りについたそうです。
また、実業界や芸能界などでもうまく活用して成功している例はいくらでもあります。
第6章
私の元気講演会で、『メンタルフィットネスで笑顔』の理論と実際を、体感・習得していただいた方や組織のご紹介をします。
ご参考にしてください!
全国の官公庁・企業・医療・教育・
老人福祉・子育て支援の現場で担当!
私は皆様に明るく元気になっていただこうと願い、35年間、
「5回以上笑って3回ウトウトするメンタルフィットネス講演会」を全国の官公庁・企業・医療・教育・老人福祉・子育て支援の現場で、年間200回以上を目標に担当させていただいています。
私の元気講演会にご参加いただき、『メンタルフィットネスで笑顔』の理論と実際を体感習得し、活用していただいた方の感想を一部ご紹介させていただきます。
あなたの毎日の生活にお役に立てば嬉しいです。
・会社事務職のA子さんは、ストレスがいっぱいで身も心も押し潰され、うつ傾向になってしまい、会社も休みがちでした。
ある時、メンタルフィットネス講演会に参加され、A子さんは、
『これほどまでの爽快感をかつて味わったことがあっただろうかと思うほど、身も心も空に浮きそうなくらい軽くなったのを感じられました。身体を緩めることで、気持ちがこうまで変わるということを知りました。イライラ・もやもやがなくなり、何事にも集中できるようになりました。仕事のペースも上がって面白くなり、人間関係の輪も広がって来ました。
今、自分の中でプラスへプラスへという流れが動き出しているのを、ひしひしと感じます。』と、以前とは見違える笑顔で語っていました。
・公務員のBさんは、激務と人間関係などによるストレスでうつ傾向になり休職していました。ドクターのカウンセリングを受けられ、「メンタルフィットネス講演会」にも参加されると、参加回数を重ねるごとに気持ちが楽になり、元気回復し、復職されました。
今ではメンタルフィットネス講演会の講師としても活躍されています。
・大企業の管理職のC氏は、上司によるパワハラからうつ傾向になり退職も真剣に考えていた時、『メンタルフィットネスで笑顔メンタルトレーニング法』でうつ状態から脱出されました。
「博士号を取り、大学教授となって、学生達とゼミで楽しく過ごし、大学教育に貢献し大活躍しているイメージトレーニング法」を実施され、名物教授として活躍されました。
・中学校教諭のD先生は、生徒指導や同僚の先生方との人間関係が上手くいかず落ち込む毎日を送っていました。
そんな時、「メンタルフィットネス講演会」に参加され、参加される毎に元気を取り戻されていきました。
D先生は、学級経営にこの元気講演会のプログラム「メンタルフィットネスで笑顔」を導入されています。
生徒たちの学習意欲がアップし、D先生は生徒とはもちろん、他の先生方とも笑顔で接することができるようになり、教員生活を楽しく送れるようになられました。
・ 小学校教諭のE先生は、体験文でこのように書かれています。
「今、教職員の生活環境は、最近本当に厳しくなっています。
私の学校でも、うつ傾向にある方が何人かいます。
ストレスの状態がひどくなると、自律神経の働きが悪くなるために、食欲不振・不眠・頭痛・動悸など様々な症状が起こり、仕事にまで影響が出てきます。
自律訓練法は、不安や緊張の緩和、自律神経系の働きのバランスを回復させ、心身の安定に大変役立つ自己治療法です。自律訓練を習得することは、ストレスの対処法として、大きな効果を期待できます。
私は、教職員だけでなく子ども達にも今回学んだことを行動療法の授業プログラムとして生かしていきたいと考えています。」
・NHK大阪文化センター様では、1984年より23年間、社会人の方々に「集中力強化メンタルフィットネス講座」を毎月2回、担当しました。卒業生の方々は毎日の生活に役立っていると報告してくれています。NHKりんくう文化センター、神戸文化センター、京都文化センターでも担当しました。
・NHK京都文化センター様では、「脳を癒し、脳を鍛える講座」を担当しました。
昨今のマスコミを賑わす言葉には、いじめ、リストラ、うつ、自殺と大変心を痛めるものが多く、そしてそれを日常茶飯事に耳にする人間の心と身体、そして脳は大きなストレスを受けています。
ストレスの打撃を受けた脳を徹底的に癒やし、願望を実現できる脳に鍛えるイメージトレーニング法をお伝えし、好評をいただきまでした。
・毎日新聞大阪開発㈱様では、1984年より、毎日新聞大阪本社研修室で「親子で受ける集中力強化セミナー」を25年間担当しました。
毎日新聞社2日間講座をはじめ、ホテル2泊合宿セミナー、小豆島合宿セミナーなど今は懐かしい想い出です。
「学んだメンタルフィットネス法を家族で活用しています」という報告も沢山いただいています。
・(株)CSK様では、メンタルヘルス研修実施
創業者大川功社長に「こんな簡単な方法でストレスがとれ、モチベーションアップできるんだ!」と感動していただいたのがはじまり。
役員の方から管理職の方々にまず体験していただき、全職員から新入社員に数年にわたって「セルフケア法」をお伝えし、組織力アップに貢献。その後、パソコンソフト「クリアマインド」(富士通FM-TOWNS)を製作していただき、好評でした。
ダイヤルQ2サービス(ベルシステム24)も開始し、業績アップに貢献しました。(昭和終わりから平成初期)
・富士通(株)様では、得意先社員招待定期セミナーを毎月実施
富士通関西システムラボラトリ4f会議室(定員400名・大阪ビジネスパーク)で毎月得意先の社員の方を招待して「メンズフォーラム」と「レディースセミナー」「エグゼクティブフォーラム」を開催され、プログラムの企画と運営に貢献しました。
ご参加企業の社員の人間力アップに貢献でき好評でした。
富士通様とご参加企業様との関係もより深まり共に業績向上しました。
・トヨタ自動車労働組合様で、家族で受講する「日曜日研修」として「下口雄山リラックスセミナー」を、日曜日10:30~15:30で定期的に豊田市カバハウス会議室で開催されました。。
家族で研修に参加することで、家族の繋がりが深まり、家庭内に笑顔が増え、子どもの成績も上がった等、家族力が向上しました。
また社員食堂(豊田市カバハウス)での昼食会も好評でした。
・花王㈱テクノスクール様では、毎年、花王和歌山工場研修室で全国の花王工場と東南アジアにある花王工場のリーダーの方々に「セルフケア一日研修」を十数年間担当しました。
「自律訓練法とイメージトレーニング法」を体感習得して、活用していただいてます。
・公文教育研究会様では、地域で講演会「わが子に集中力をつける法」 香川県、広島県、大阪府の全地域で数日にわたり、下口雄山の講演会「わが子に集中力をつける法」が数年間開催され担当し、喜んでいただきました。
広島中国放送公文教育研究会提供番組「雄山とともちゃんのきっとうまくいくよ!」も大好評でした。公文教室の参加者が増え、定着率がアップされました。
高松、徳島、松山、淡路島、奈良、高野山、京都、亀岡、神戸、名古屋、津、東京都、千葉、姫路、小倉、佐世保、熊本、鹿児島、沖縄等でも担当し好評をいただきました。
・看護協会、病院、看護学校様で、看護師セルフケア研修担当
看護師一年生の新人研修から中堅の看護師の皆様、管理職の方の『メンタルヘルス研修』を32年間にわたり担当しました。
新潟県・島根県看護協会様で3年間、年2回ずつ担当させていただきました。
福井県・奈良県・兵庫県・大阪府・京都府・和歌山県等で、また全国各地の大手病院で担当させていただきました。
今年も巣立ってまもない看護師の中に、メンタルヘルス不調で、すでに病院に行けなくなってしまった看護師がおられると聞きました。人の命を預かる現場では、私どもの想像を絶する状況に、看護師の皆様は立ち向かい、乗り越えていかなければならない心の強さが必要となります。
夢と希望にあふれた看護師という職業への理想と、日々の過酷な勤務状況から打ちひしがれ、心が折れてしまう看護師の方もおられるとお聞しています。
しかし、人の能力の90%は眠っているのです。その能力を発揮できれば、どんなに緊急過酷な状況であっても、適宜適切な対応できる看護師となりうることができます。
キーポイントは「リラックス」することです。心もトレーニングすることで、考え方のクセに気づき、気持ちを上手に切り替えることができるようになります。多くの看護師の方々に体感し習得していただいています。
・「心理カウンセラー」を目指している方に、
セルフケア自律訓練法講座
・㈶関西カウンセリングセンター様で、古今堂宏理事長にお世話になり20数年間、毎年2度「自律訓練法5回講座」を担当いたしました。カウンセリング講座説明会では、毎年川上教授、黒木教授、古宮教授と担当させていただきました。
・ 日本産業カウンセラー協会 関西支部、四国支部でも数度にわたり「セルフケア自律訓練法講座」を担当。好評をいただきました。
・続いて、日本メンタルヘルス協会の衛藤理事長にお世話になり、永年外部講師として、「楽しく学べるセルフケア自律訓練法講座」を担当。多くのプロの心理カウンセラーの方々に「下口雄山式セルフケア自律訓練法」を好評活用していただいています。
・「大阪府下市役所・町村役場様」でメンタルヘルス研修
大阪全市の市役所、町村役場様で職員の方々にメンタルヘルス研修を担当し、セルフケア自律訓練法を「簡単にできる心のメンテナス法」として好評活用していただいています。時には、兵庫県の市役所職員の方々、各地の学校の先生方にもお伝えしています。
今、オンラインで「セルフケア自律訓練法講座」にも取り組みだしています。
・「安全衛生大会の元気講演会」全国各地で担当!
関西電力、NTT各社、㈱クボタ、トヨタ、中国電力、マツダ、ダイキン工業、大同生命、大手建設会社(敬称略)他多数。
「集中力強化セルフケア元気講演」全国各地で担当!
「集中力強化セルフケア元気講演」全国各地で担当!
老人福祉施設様
老人福祉施設様で「人間力アップ!職場環境向上!」に貢献
大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、徳島県、高知県、島根県、広島県、鹿児島県、奄美大島、静岡県、東京八王子、青森県等で貢献しました。
2009年に、兵庫県老人福祉事業協会様主催・施設長研修会(於、神戸ポートピアホテル)で、講演「スタッフのメンタルケア」を担当させていただきました。
『社会福祉施設の管理職が、現場で働くスタッフの日々抱えているストレスについて実態を把握し、スタッフの「メンタルヘルスケア」に取り組まなければならない時期にきています。「介護スタッフの陥りやすい葛藤とメンタルヘルスケアについての対策」を話してほしい』という依頼でした。
その中で、特に各施設長様は、『いつでもどこでも簡単にストレスが除去できるメンタルフィットネス法と目標実現イメージトレーニング法』に関心を示され、実際に体感し、習得していただきました。
その後、多くの施設長様から『楽しく、すぐに役立つ研修だった。是非、当施設の職員や入居者の家族会で、また、ブロック会で……』と、続々ご依頼をいただきました。
講演・研修を担当する中で、ハードな介護現場における「メンタルヘルスケア」の必要性を痛感致しました。 その中で、特に人材の重要性に着目しておられる社会福祉法人かるべの郷福祉会施設長藤森博氏との出会いが、私に示唆を与えてくれました。
・かるべの郷福祉会藤森博施設長の取り組み
藤森氏は、私に「人を相手にするサービス業で最も重要なものは、サ
ービスを提供する人の人間性であると考えます。高い『人間力』が、サービスの質を高めると信じています。しかし、福祉業界の現状は、介護する人間の本質よりも、介護理論・知識といった表面的な事項を重視しているように思えてなりません。我が施設は、『高い人間力のある人材』で、『心温かいサービスを提供する施設』でありたいと思います。」と語っておられました。藤森施設長は、常にスタッフが気持ちよく働けて、仲間同士がよい影響を与えあえる相互啓発のできる環境づくりに努めておられます。スタッフを様々な研修に積極的に参加させ、読書による自己啓発も勧める等、様々な方法で介護スタッフとしての能力開発に力を入れておられます。
私が「リラックス力」「コミュニケーション力」「目標実現力」等の「人間力アップ研修」を担当。
受講されたかるべの郷の生活相談員・ケアマネージャ・介護士・ヘルパー・職員等のスタッフの方々から、「こんな簡単な方法で、心身が軽くなり元気回復できるのは感動だ!」「職場の人間関係もより和やかになり、なお一層心温かいサービスを提供できるようになった。」という感想をいただきました。かるべの郷様は、利用者にさらに満足いただける施設へと発展すべく努力をされています。
・子育て支援で貢献
「おギャー献金」発祥の地、鹿児島県伊佐市から研修依頼をいただきました。
『当市は、「日本一子育てにやさしい町」を目指して、各関係機関が繋がりあって子育て支援を構築中の市です。
現代社会はストレスだらけの社会であり、人間関係の中で思うように関係を築けなかったり、自尊感情が高まらず、子どもも大人も、その悪化した関係の中から這い出せず、辛い思いをしている方々も多いように見受けられます。
この混沌とした社会情勢の中で子どもの輝く未来をどのように大人として保障していくのか、また、大人はこれからの人生をどのように自分らしく生きていけばいいのか、先生の経験から、モチベーションを高める方法等をご示唆願いたい』と研修依頼をいただき、3日間担当させていただきました。その後、各地で貢献中! 「お母さんの笑顔が、子どもを伸ばす!」がキーワードでした。
・地域総合型スポーツクラブで貢献
平成27年12月から毎年、熊本県大津町スポーツクラブで斎藤陽子マネージャー様にお世話になり『メンタルフィットネス研修』を担当。平成29年2月、平成31年11月には、札幌オールカマースポーツクラブで奥田幸夫事務局長・鈴木浩二事務長にお世話になり担当させていただきました。
下口雄山メンタルフィットネスは、札幌オールカマースポーツ倶楽部との関わりの中、「心の健康」と「集中力・元気・やる気開発」をモットーに、各分野において「メンタルフィットネス」を取り入れた講演や研修を担当させていただき、幾多の成功事例を積み重ねてきました。
スポーツ活動が多様化、高度化してきており、その指導のあり方についても様々な考え方や手法が取り入れられてきています。
このような中で、指導者には大きな責任が課せられ、指導者の資質向上が期待されています。
そこで、『集中力アップを目指すメンタルトレーニング』を表題に指導者講習会を、平成27年12月より毎年熊本県大津町スポーツクラブで、実施させていただきました。
平成29年2月、平成31年11月には、札幌オールカマースポーツクラブで 午前の部テーマ「集中力強化メンタルトレーニング・目標達成イメージトレーニング法」午後の部テーマ「メンタルトレ・イメージトレの理論と実際」を実施させていただきました。
かつての私の体験―大阪府短期訓練キャンプカウンセラ—、中学校教職21年間、毎日新聞大阪開発主催「親子で受ける集中力強化セミナー」を24年間担当、NHK大阪文化センター主催『集中力強化メンタルトレーニング』講座を23年間担当のノウハウを元に、日頃の指導とは少し違う視点で、子ども達への関わりを学んでいただけました。
セルフケアコンサルタント 養成講座開設!
講演講師・研修講師 で生涯現役!
『今までの人生経験を社会教育の場で活かしたい方』、『ご自身の生きがいのためにも生涯現役で活躍したい方』、『教育界・医療機関・職場で活用したい方』、『自分自身のために修得し活用したい方』のために開設しました。
受講者の方々からもつと深く自律訓練法を教えて欲しい、指導者になりたいというご要望があり、現在、『セルフケアコンサルタント養成講座』を設立し、広く下口雄山式自律訓練法=メンタルフィットネスを学んでいただけるようになりました。卒業生の方々は多方面で社会貢献していただいています。
卒業生の活躍のご紹介
「心の学校を目指して」
黒川 興嗣様 25期生 岡山市在
私自身、下口先生に出会う前は、自分に自信がなく、充実感のない日々を過ごしていました。しかし、下口先生にメンタルトレーニングを指導していただくことで、自分に自信がもてるようになりました。さらには、夢実現、イメージトレーニングをすることで、全国でメンタルフィットネスを活用し講習・研修活動をしたいという夢も叶えることができました。
現在は、講師として東京・名古屋・大阪・福岡で美容師の方を対象とした講習会をしています。その中にメンタルトレーニングをとりいれて、美容師の方がイキイキと楽しく仕事ができるようにサポートしています。本業と融合! さらに、今後は充実した日々を過ごしたいと思っている一般の方を対象に、『心理学の講座』を展開していきます。
(乞う! yahooで黒川 興嗣(くろかわ こうじ)で検索)
「心豊かな・素敵な人生を目指して」
自律訓練法を用いたメンタルトレーニング学んで
1級セルフケアコンサルタント 北原邦子様30期生
社会が経済的に高度成長をするに伴い、組織は複雑化し、人間関係の希薄化も顕著になってきた。私は以前から心の勉強に関心があったので、某カウンセリングセンターの扉を叩いた。
センターでの学習は全てが興味深くて、楽しくのめり込んでしまった。当初希望していた所定の資格を取得することができたので、更に経験と知識を積むために、「いのちの電話相談員」としての研修を積み、細々とではあるが今も相談員としてのボランティア活動を続けている。振り返れば、カウンセリングの学習を始めて早20年の年月が流れ、人の心は疲弊して、救いを求めてカウンセラーを訪ねる人が斬増し、今やカウンセリングは実生活の円滑な営みに不可欠な要素となりつつある。
私は小学校教員として30余年を過ごしてきた。教師は子ども達を指導教育することが本分であり、それを天職だと思ってやってきた。私の教育信条は、「心と身体が健康」な人間形成である。
しかし、小学生にとっては、フロイトやロールシャッハやユングの理論と実践は、到底理解しがたく、現実の問題としては実用化が困難と言える。これは学級経営にも影響を及ぼすことなので、何かよい方法があるのではないかと模索を重ねた。そして、センターで何度か講義を聴講させていただいた下口先生に到達した。
下口先生のメンタルフィットネスは非常に直視的で平易であるが故に、現在担任している小学二年生の子ども達でも理解できるのである。
ただ、その奥にある極めて高度な理論と知識と実践力については、私自身が今後もより深く学ぶべき点が多々あると認識している。
「とれたーくん」は、子ども達に大人気である。今まで多少ざわついていた教室が、一転して静かで行儀がよくなった。クラス全員が綺麗な文字を書くようになった。友達同士で助け合う協調心が強くなった。
先日行われた体育大会では、保護者や大勢の観衆の中で、「紅白の大玉転がし」や「紅白対抗リレー」で好成績を挙げた等々、今までに味わったことのない経験を子ども達も、私も、実感している。
担任とクラスの児童、そしてその保護者、この三者が不変の信頼感と協力連帯感に裏打ちされて、しっかりスクラムを組み上げることに成功し、周囲の注目を集めている。
私は今後も、「とれたーくん」を継続していくつもりだし、子ども達もそれを願って受け入れてくれると思う。これから先、クラスの子ども達がどのように成長していくだろうかとわくわくしながら楽しみにしている。
幸運にも下口先生とメンタルフィットネスに出会い、私は貴重な時間と気力と体力の全てを傾倒して修得に専念した結果、「セルフケアコンサルタント一級」の認定資格をいただいた。
自身の体調の変化に驚き、物事が順調よく捗っていくことにも喜びを感じている。今の私のクラスは他のクラスよりも様々な面で遙かに優れていると自負するとともに誇りに思っている。これは、ひとえに下口先生のご教導のお陰であると思っています。先生をはじめ、協会のスタッフの先生方に、心から感謝の意を申し上げたいと思います。
今後は、下口先生の教えを、自身はもちろん家族や周りの人達にも、是非ひろめていきたいと思っています。二年間、どうもありがとうございました。
「この講座には、奥の奥がある」
下口式自律訓練法の講座を学んで
精神保健福祉士 岸田竜一様
下口雄山先生との出会いは、今から5年ほど前、前職場でのメンタルヘルス研修でした。
業務の延長なので、あまり期待もせずに研修に出たのですが、先生の話の面白さにすっかり心を奪われたばかりか、「先生のような仕事をしたかったんだ」という自分自身の心の底の声が聞こえてきました。
自律訓練法はかなり以前から知っていましたし実践してきたつもりでしたが、下口先生からは、わかりやすく誰にでも短時間で体感できる方法を教えていただくことができました。
早速、インターネットで情報を集めもっと下口先生の講座を受けようと思いました。しかし当時、私は管理職になったばかりであり、育児にも追われていましたので養成講座を受けるだけのまとまった時間をとる余裕がありませんでした。
受講できる機会が来るまでの間、メンタルヘルスの関係の勉強を少しでも始めておこうと思いメンタルヘルスマネジメント検定の勉強から始めました。
その次は産業カウンセラーの勉強と徐々に心の勉強を進めていき平成24年4月についに、セルフケアコンサルタント養成講座を受講することができました。
最初の講座では、人前で下口式自律訓練法を発表していくことに抵抗を感じました。というのも、私は人前で話をするのが好きではなくかなり緊張する性格だったからです。到底、90分間の講演なんてできない。また、することもないだろうと思っていたのですが、回を進めるにつれて人前で話をすることに徐々に慣れてきた自分に驚きました。
毎回、自分自身の成長が実感できるのです。たんなる知識の習得だけではなく、技術と経験を積むことのできるプログラムなので自信もついてきました。
しかも、講座を受けながら自分自身のストレスがとれていくというところがとにかく優れていてセルフケアにもなりました。今まで色々な講座を受けてきましたが、ほとんどの講座がインプット中心で、終わればけっこう疲れてしまいますが、この講座は逆に元気になれるのです。
その他にもいろいろな学びはありました。下口先生や講師の方々からはもちろんですが、一緒に学んでいる仲間からもたくさん学ぶことができました。お互いを高めていき人間力もついてくるような気がします。この講座に出会えたことにすごく感謝しています。
「人を癒し自分も癒されていく、さらにお互いが循環的に成長していくことができる」講座であったと思います。これからは、この下口式自律訓練法とこのプログラムを伝えることを、第2の職業人生に取り入れていこうと思っています
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
私は今、全国各地で「一億人ストレス撃退元気アップセルフケア講演・研修」で「健康日本21」運動に協力して、社会貢献させていただいています。
ストレスの感じ方は人それぞれ違います。だからこそ、ご自身でストレスに負けない「強い心」を育ててほしいと願っています。
「メンタルフィットネスで笑顔」はまさに、「自分で心を癒し、鍛える」「脳を癒し、脳を鍛える」を、モットーとして楽に、そして強く楽しく生きる方法です。
ぜひ体感習得していただき、そして継続実行を試みていただきたいと思います。また、Zoomによるオンライン出前講座も実施中です!
お問い合わせは yuzan1414@gmail.comまで!資料ご送付!
著者HP http://www.mental-fitness.jp/
FB https://www.facebook.com/yshimoguchi
ご参考にしていただけましたら光栄です。
あなたの益々のご活躍とご発展を祈念します。