成績が良くなる心の使い方 その2

成績がよくなる心の使い方≪2≫

なぜ本番で実力発揮できない 
心や体はキミの思いのまま潜在意識が行動を決定 
“心身をコントロール訓練すれば悩みも解決”

前回、例にあげた加藤昭典君(仮名)は「家で勉強するときには、かなりむずかしい問題でもスラスラと解けました。
だから安心していたところ、いざ勝負どころの三年生の最初のテストで、答案用紙が配られたとたん、頭がボーっとなり、覚えていたことをすっかり忘れてしまいました。
何とかしなければと記憶の糸をたぐりましたが、どうしても思い出せなかったのです。

ところがテストが終わってホッとした瞬間、あれはこうだった、これはこうだったと正答が浮かびあがってくるのです。

大切なテストでミスをしてしまって本当に悔しいいです」と、くちびるをかんでいました。
こんな彼の話を聞いて、彼の友だちも次のような悩みを訴えていました。

B君は「勉強しなければと思うのですが、なぜかイライラして机に向かうことができないままに、時間だけがどんどん過ぎていくのです」と。

またC子さんは、「テストや行事の前日になると、急にねむれなくなって、ねむろうとすればするほどますます目がさえてくるのです」と。

K子さんは「友だち同士で話している時は、スラスラ話せるのに、授業中に先生に指名されて発表する時になると、急に口のまわりがこわばってきて話せなくなり、顔も赤くなってしまい、あせればあせるほど声にならないのです。高校入試の面接が今から心配です」と。

Y君は「テストの時間になると急に腹痛が起こり、テストが終わってしまうと不思議に腹痛がなくなるのです。
そのためテストでふだんの実力が発揮できないので困っています」

このように人間の心は自分のものでありながら、自分の思うようにならないもので、むしろ自分の思っていることと、逆の結果になることが多くあります。

心理学では、私たちの心のしくみを大海に浮かぶ氷山にたとえて説明しています。

私たちの心には自分で意識できる心以外に、意識できないかくれている心があって、これが私たちの行動の大半を決定しています。

水面に出ている氷山の一角が意識している心(顕在意識)で、短期記憶層です。

そして水面下に没している巨大な部分が無意識な心(潜在意識)で過去の体験や長期記憶層で、これが知識の宝庫です。

意識を「乗り手」に、無意識を「馬」にたとえると、両者の働きぐあいがよくわかります。

人間がいくら走ろうと思っても、馬がその方向に動かなかったらどうにもなりません。

人馬が一体となり、同じ方向へ走ろうとした時にはじめて強大な力が得られるわけです。

この場合、馬が行動を決定するといっても過言ではありません。

つまり潜在意識がキミの行動を決定するのです。

だから自分の持っている実力を、どこででも常に全部出し切ってしまうというのは、大変にむずかしいことですが、中にはそれができる人がいます。

では、どうすればふだんの状態で、自分の持っている実力のすべてを出し切っていける心と体の状態をつくれるのでしょうか。

キミのまわりにいつも実力を出し切って失敗をせずに成果をあげている、本当に強い人がいませんか。

いや少数だけどもいると思います。

要するに、キミもそういう友人と同じ心身の状態を自分でつくり出せばよいのです。

心のしくみがわかると、キミは今よりさらに自分の心と体をうまくコントロールして、勉強に集中できるようになって、成績もグンとあがり、目標の高校への合格のチャンスもふくらんでくるというものです。

その方法について次回からさらにくわしく述べていきます。